2009年12月26日

フランス危機一髪! '07 <第五章>

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    第五章  世界遺産の街、Carcassonne 

 

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久々の目覚まし(時計)をかけない朝。

機械的に6、7時前には目が覚めるように

なってしまった四十路ではあるが、

それでも疲れからか、今朝は7時過ぎに目が覚めた。

 

まずはシャワーだ。

パトちゃんのタバコの香りが髪に染み付いている。

すっきり洗い流し、身支度をして階下に降りた。

フロントデスクにいた女性にドライヤーを借りて部屋に戻り、

しっかり乾かす。…完璧。

 

一階にある食堂でゆったり食事を摂る。

デニッシュ、バゲット、クロワッサンが選び放題。

コーヒーもエスプレッソ、カフェオレ、そして紅茶、

ヨーグルト、ジャム、バター、ジュース…

もし食べられるなら、おかわりも自由。

 

銘子以外の日本人は泊まっていないもよう。

イギリス人っぽい中年夫婦とフランス人の老夫婦が

一緒の食堂にいた。

 

大きめのカップにたっぷりの濃いコーヒーを入れ、

少しだけ泡立てて温めてもらった

ミルクをたっぷり入れて飲む。

 

う〜ん、生き返る思い。

 

バゲットとクロワッサンとヨーグルトと

コーヒー二杯でおなかが一杯になった

銘子は部屋に戻り、デスクで計画を立て直した。

先日のような恐怖のストライキに巻き込まれるのは

もうごめんだ。

Parisへの帰りはTGV(フランス新幹線)を

使うつもりだった。

 

つまり、今いるNarbonneからCarcassonneへ、

そこで一泊してからToulouseへ向かう行程までは

列車を使い、そしてToulouse-Parisを

飛行機の予定であったが、それをやめてTGVに乗るのだ。

しかし、飛行機だと1時間で済むところが

TGVだと5〜6時間かかる。

 

今回の旅行の目的に、Carcassonneで昼・夕方・夜の

写真撮りまくるというのがあった。

 

天気予報を見ると、今日一日の天気は良いが

明日からは崩れるような感じであった。

今日一日の良い天気を逃せない!

銘子はCarcassonneに昼過ぎに入り、

夕方、夜にかけて写真を撮り、そして

翌朝Toulouseに向かって出発することにした。

 

そうなると、ここNarbonneでの滞在時間は

3時間ほどしかない!

勿体ないのだが行程上、仕方ない。

この近辺は南西ワインの宝庫だ。

FITOU、CORBIERES、MINERVOIS…。

カーブ巡りしたら楽しいだろうな。

 

おっと!こうしてられない!

慌ててチェックアウトし、荷物をそのまま

草刈正雄に預けてつかの間の散策である。

もちろん、正雄に12時台の

Narbonne―Carcassonneの列車の時刻は調べてもらった。

親切にも、3本ほどある、とプリントアウトしてくれた。

 

ホテルの前には人っ子一人いない。

静かな朝である。




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カメラを持って正雄がくれた地図を片手に街の中心街へと向かう。

日曜の朝だからか?誰もいない。静かな静かな通りを進んでいくと

川にぶつかった。ここがCanal de la Robineだ。

…って地図に書いてあった。

 

ここでは朝市が開かれていた。驚く程たくさんの人がいる。

町中の人がここに集まって来ているのか?

今日は洋服の市のようで、びっくりするような大きなショーツが

ぶら下がっていたり、セーターやコートが並んでいる。

鮮魚の卸売り市場のような呼び込みで服を売っているおっちゃん。




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ちょこちょこと写真を撮りながら進んで行くと

大きな建物に人々が吸い込まれて行くのが見える。

銘子も行ってみると、そこは常設の市場だった。




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中にはあふれる食材が。

 

野菜、肉、魚、花、はちみつ、ジャム、パン、

ソーセージ、あらゆるものが並んでいる。

 

ああ、ホテルでの食事を少し控えてくのだった。

と後悔する銘子であった。

 

この市場の前で写真を撮っていると

小さな小太りのおじいさんが声をかけて来た。

 

「ねえちゃん、こんなとこ撮ってんの?」

 

「はい、とても美しいですね」

 

「そうか。わしは毎週ここに来とるがな。

    きれいかぁ?」

 

「あの…この辺にツーリスト・インフォメーションは

 ありますか?」

 

「ツーリスト…わし、生まれてからずっとこの街に

 住んどるけどな、観光はしたことないから、知らんわ」

 

「ああ、そうですか、ありがとう…」

 

お礼を云いながら銘子がふと、何気なく

そのおじいさんの顔をまともに見ると、なんと!

そのおじいさんの鼻の頭から毛が生えているではないか!

そう、鼻の毛穴のすべてから黒い毛が

3mmほど伸びているのだ。

これが本当の『鼻毛』なんだろうな〜と

銘子は妙に感心してしまうのであった。

 

そのまま来た道を戻りつつ、大聖堂の前までくると、

なぜかそこにはかなり古い

(車の知識がない銘子が見てもそう思う)

シトロエンが並んでいる。

 



tkg'07-12.jpg


 

どうも、シトロエン同好会のようで、

見せ合いっこしているようだった。

これからどこかに行くのだろうか?

 

おっと、時間がない。

銘子は慌ててホテルに荷物を取りに戻り、

それからすぐに乗れる列車のチケットを買った。

12:49 Narbonne 発、13:20 Carcassonne 着のTGV。

少し時間があったので売店でお昼ご飯のサンドイッチを買った。

 

 


tkg'07-13.jpg


ご存知の方も多いだろうが、フランスでサンドイッチというと

バゲットにチーズとハムを挟んだものを云うのだ。

何てことないのだが、パンもハムもチーズも安物なのに旨い。

塗ってあるバターも旨い。

これを銘子は駅のホームで平らげた。




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昨日の夜、ここで何があったのか…知ぃ〜らないっと。

見てないもん。

 

ホームに入って来た列車に乗り込み、30分程で

ヨーロッパ最大の城塞都市、Carcassonneに到着だ。

 

まず先に、駅構内で明日のParisまでのチケットを手配し、

いざ出発!

 

ここには一度来たことがあるので何となく地理は分かる。

駅前に立て込んでいた城下町を抜けて川に出た瞬間、

橋の右側にCarcassonneが誇るLa Citéの城壁が見えて来た!



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今回は、この中世の雰囲気をそのまま残した La Cité Medievale の

正面に位置するホテルを予約してある。

ここは今回の旅行の行程で相談に乗ってくれた銘子の仏語教師・

俊のお薦めの宿である。

 

まずホテルにチェックインする前に近づいて来る景色を

撮りまくる銘子。

 

Pont Neuf(新橋)から城をのぞみ、

そして川を渡ってすぐまたPont Vieux(古橋)を

戻り、そこからまたLaCitéを撮る。美しい。




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「よし!今日は夕暮れからここに陣取って

 日がとっぷり沈むまでここで写真を撮ろう!」

 

銘子は決心し、ホテルへ向かった。

ここは初めてのシステムで、まずチェックインの際に

部屋の鍵と数字が刻印された札を渡される。

銘子の部屋は別棟になっていて、そこのオートロック解除の

暗証番号が刻印されていたのだ。

 

チェックインした建物を抜けて道路を渡ったところに

別棟があり、云われた通りにロックを解除して部屋に入った。

なんて素敵なお部屋なんでしょ!可愛い!

浴室の白いタイルの目地がなぜか全てピンクだ。

おしゃれだ。白いタイルにピンクの目地。かわいい。

 

おっと、感動していて時間を忘れそうになってしまった。

銘子はカメラだけ持つと、城塞(La Cité Medievale)

の中へ出発した。

 

観光客で一杯の街。土産物屋を冷やかしたり、

ワイン屋さんをのぞいたり、そしてカフェで

ビールを飲んだりして日暮れを待つ。

 

日が西の空に傾き、空がオレンジ色になってきた!

よし!

 

銘子はミニ三脚とカメラを抱かえてPont Vieux(古橋)へ。

途中、おじさんが声をかけて来る。

 

「おねえちゃん、いい写真撮ってね!」

 

「ありがと〜!」

 

橋の端(?)に腰掛けて三脚を据える。

そして数分ごとに同じアングルで写真を撮る。

 

そう。徐々に暮れて行く空気の中の城を撮って

パラパラ漫画を作るのだ!




tkg'07-17.jpg


冷えていく晩秋の夕暮れ。

石の橋に座っていると、お尻が冷えてかなわない。

ライトアップされた城壁が白く光る頃になって、

銘子はやっと写真を撮り終えて夕食に行くことにした。

城壁の中には土産物屋もレストランも沢山あるのだが

日曜の夜だからか、どうも人出が少なかった。

そして、やはり、ここで食べるのは…



tkg'07-18.jpg


Cassulet(カスレ)でしょ〜!

白インゲン豆とソーセージとローストした鶏肉の煮込み?

(煮込んだ後でオーブンで焼く)ま、コクのある地方料理だ。

赤ワインを頼み、ちびちび飲みながら熱々のカスレを食べる。

おいしい〜っ!

 

が、やはり最後までは食べきれない。

延々、鍋に豆が沈んでいる。申し訳ないが残す。

デザートも入らない。満腹だ。

 

ゆっくりホテルまで戻って電池残量が残り少ない携帯に

電源を入れてメイルチェックをする。

俊から『ワン切り許す!』とメイルが入っていた。

云う通りにワン切りすると折り返しホテルに

電話がかかってきた。

 

「とにかくCarcassonneまで来たんや。

 よかったね〜、無事で。

 で、Parisへの帰りはどうすんの?」

 

「いや、もうあんな思いは嫌やから

 TGVで帰るよ」

 

「でも結構の便がもう普通に飛んでるで〜。

 時間が勿体ないやんか。

 乗れる飛行機に変更したら?」

 

「う〜〜〜ん。でも…いい。ややこしいし、

 もうTGVのチケット買ったし」

 

「ちなみに銘子の便の予約No.は?」

 

「えっと…YPB413やけど…」

 

「分かった!変更出来るか調べといたるわ!」

 

電話は切れた。

銘子は俊に

 

「ともかくAF6133便がannulée(欠航)か

 どうかだけ調べてくれますか?」

 

とメイルを送った。

 

翌朝、また俊から電話が入った。

 

「AF6135に変更できたで!

 予約No.は変わらへんからそのまま

 チェックインカウンターで

 その番号云うたらOKやで」

 

「ええ?や、でも…」

 

「今回は無料航空券で行ってるから、

 Toulouse-Paris間で搭乗実績を

 作っとかなアカンねんやろ? 

 行きでTGV乗ってしまったから、

 帰りはもう飛んでるんやし、

 飛行機に乗っといた方がいいのとちゃうか?」

 

「あ、そうか。今回、飛行機に乗っとかんと、

 今までのカードの買い物マイルが

 全部無効になってしまうのか。」

 

「17:15 Toulouse 発で、18:35 Paris 着。

 15:30〜16:00までに

 空港に行っといたらいいから

 それまで時間を有効に使えるで!

 ほな、そのまま旅行を楽しんでくださ〜い!」

 

「あ、ありがとう!」

 

そっか〜。今回の銘子のビジネスクラス航空券は

貯まったマイルで交換したもの。

エールフランスVISAカードで買い物したり、

カード引き落とししている光熱費等のマイルの

有効期限は1年間。その有効期限は搭乗実績があれば、

3年に延ばすことができるのだ。

(*'07年当時のお話)

 

銘子の周りにも無料航空券欲しさに

マイルをせっせと貯めながら、しかし時間的余裕が

なくてフランス旅行がままならず、

提携航空会社の大韓航空で韓国二泊三日をして

マイルの有効期限をかろうじて延ばしていた友人がいる。 

 

ま、これで丸く収まった。

とにかくToulouse-Paris間のTGVのチケットは

キャンセルしなくちゃ。

それで出来た昼間の数時間を、

銘子はToulouse 散策に充てることにした。

さ、そうと決まったら朝ご飯!

 

何が楽しみと云って、それが楽しみで

ここに宿泊したようなものなのだ。

朝食レストランには一人だけ初老のおじさんがいた。

 

「どこに座ろうっかな…!ここだ!」

 

ベストポジション。

ここは、城壁を眺めながら朝食がとれるのだ。

すばらしいロケーション。

 

 

 tkg'07-19.jpg



芝生の向こうに見える城壁。

温かいパンと熱々のコーヒー。

 

今日はここからTGVでToulouseに行き、

飛行機でParisに戻るだけ。

そうだ!Toulouseでちゃんとしたレストランで

ゆっくりお昼ご飯を食べよう。

 

毎度、サンドイッチというのも味気ないし!

 

そんなことを考えながら銘子はいつもよりも

ゆっくり時間をかけて朝食をとった。

 

また自分に降り掛かる災難には

気づきもしないで…

 

 

次回、

 

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  第六章  悪夢、再び…Toulouse-Paris 

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お楽しみにっ!

 

 

posted by 小池 紫 at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行記
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